札幌のゲストハウスSOCIALHOSTEL365(ソーシャルホステル)
1月23日金曜日、札幌のゲストハウス〈SOCIAL HOSTEL365〉に行ってきました。もちろん軽トラで。このゲストは昨年12月にオオハタさん、ソウイチさんが開業したゲストハウスです。自分よりも1つ若い若者が開業しているということも興味をそそりますが、面白い取り組みもしていて、その名も〈トラベラーズラウンジ〉というもの。
これは旅人の経験やスキルを地域の人に教え、シェアするイベントを開催のようで、週末に宿泊予定のお客さんがイベントを企画し、札幌の人たちを集めてみる企画。
今回、私が呼ばれたのもその催しの一環です。【いろいろ教えて!地域おこし協力隊ってなんですか?】というテーマでお話させて頂きました。
きっかけは同じくゲストスピーカーの浦幌町地域おこし協力隊、畠山さんつながり。畠山さんは1ヶ月ほど運営会社の株式会社FULLCOMMISSIONが運営しているシェアハウスWAGAYAに住んでいたことがあるそう。そこからのつながりで行われたイベントでした。
浦幌町のはなし
浦幌町地域おこし協力隊の畠山さんによるプレゼン
浦幌町地域おこし協力隊の畠山さん。地域おこし協力隊の制度について、浦幌町の取組みについて、畠山さんの活動についてのお話。浦幌町は人口約5,300人の遠別より大きな規模の町ですが、共感できるところがいくつもありました。食料自給率が2,900%ということに大層驚きました。平成の大飢饉が起きても浦幌は多分大丈夫。
また、参考になったのは〈うらほろスタイル〉という取組み。
うらほろスタイル ふるさとづくり計画
浦幌町唯一の高校が廃校になったことから危機感を抱いた住民の方が中心となって動き出したのがきっかけのようです。今では町全体の取り組みとなって行政も一緒に動いているとのこと。
こどもを真ん中において住民が自主的に取り組むという理想的な動き方だなーと思います。遠別町の場合は農業高校を廃校にするわけには行かないので、その前にこういった取組みができるようにしていきたい。
もともとは老舗とんかつ屋さんだった一階のスペース。落ち着きます。
遠別町のはなし。
いやらしい表情で得意げに話しています。一気飲みのお陰で少しほろ酔い気味。
次に私もお話させて頂きました。緊張からか、軽トラ6時間の振動が伝染ったのか、小刻みに手が震えます。
テーマは地域おこし協力隊とその後について。とはいえ、少しイレギュラーな採用と活動だったので個人的な動きと捉え方などについてとりとめもなくお話させて頂きました。
ちなみに、人見知りこじらせ系三十路男子な私は緊張感を隠すために隣にあるセブン-イレブンで500ml缶ビールを買って一気飲みの末この場にいるということは内緒にして。
わかりきっていたことですが、遠別町を知っているよ!という参加者の方は2〜3人。むしろ2〜3人知っていたことに驚きを隠せませんでした。まだまだその程度の認知度なんですよ、どうせ。
二人で1時間ほどお話させて頂き、質疑応答を経て交流会へとなだれ込みます。
石狩鍋をつつきながら交流会
参加者も交えて交流会。特製石狩鍋はとっても美味しかった。
今回は講師の特権ということで食事代、飲み物代は無料に。そんなわけでここぞとばかりにビールを飲ませて頂きました。
株式会社FULLCOMMISSION代表取締役の山崎明信さん。
地域を楽しんでいる人はやっぱり素敵な人が多いということ
今回は札幌市という地方都市で楽しみながら、札幌のために自分のためにという思いで動いている方々とお話できる機会でした。札幌市は10年ほど住んでいた街ですし思い入れもそれなりにあります。
浦幌町の畠山さんもFULLCOMMISSIONの山崎さんもSOCIALHOSTEL365のオオハタさん、ソウイチさんも。みんな自分の住む地域を楽しんでいる。自分の住むまちを選択し、楽しんでいる若い人たちはみんな魅力的。地方も都市も関係なく、選択することの大切さを感じる週末でした。
SOCIAL HOSTEL365開業までの道程が面白い
オオハタさんとソウイチさんのページをのぞくとSOCIALHOSTEL365のオープンまでの道のりを記載していまして、面白い内容でした。許可を頂いたので転載します。
【僕たちは50万円しか持っていなかった】開業までの道程 前編
左:オオハタさん 右:ソウイチさん
去年の10月、オオハタと岩見沢の温泉に入っていたときに、一緒にゲストハウスをやろうと決めた。よく勘違いされるけど、誘ってきたのは彼の方だ。そして僕はその話にのった
「開業に向けて、2人で50万円づつ貯めよう」
100万円あれば、それを元手にいくらか融資を頂いて、一軒家を改装してこじんまりとしたゲストハウスをやる予定だった。期日は2014年12月1日。特に日付に理由は無かったが、札幌雪祭りの需要を逃したくない思いがどこかにあった。
2014年春。物件探しを本格化。
物件の条件は、・都心部に近くて
・改装が自由な
・手頃な家賃の一軒家。市内50件ほどの不動産屋さんに条件をつけて連絡をとったが、折り返し連絡をくれたのは僅か数件。どれも理想とはほど遠い物件だった。
「不動産屋さんに聞いても、情報が出てこない。足で探そう」街をひたすら歩き、空き家っぽい建物を探す。電気メーターが動いていなかったら空き家の可能性が大だ。それらをリストアップして法務局に行き、土地と建物の所有者を調べ、手紙を書いたり、直接訪問した。しかしどれも空振りに終わる。もう夏が過ぎようとしていた。
「そうちゃん、物件みつかった?」かねてから、相談していたシェアハウスWAGAYAの山崎さんからメッセージを受け取ったのが7月下旬。
「一時間後に会おう」
「あの、二時間後でお願いします笑」
急いで自宅を出発し、薄野の、今はもう無くなってしまったサンローゼでお茶をした。
「実はいい物件があるんだ。見てみる?」
そういって案内されたのが、現在の物件。すすきの徒歩圏で立地も申し分ない。でも古いので、改装にすごくお金がかかりそう。
「ここでゲストハウスをやりたい?改装資金を集められるなら、いいよ。集められなかったらダメだけど。」
願ってもない申し出だった。
次の日、オオハタに事情を説明し、物件を外から一緒に眺めた。「ここ、広いな・・・でも良いね!」
「ここでやりたいよね、やっぱり!お金を集めよう!」こうして、資金集めがスタートした。まずは業者さんにお願いして工事見積もりを依頼する。あれもやって、これもやって、など一通りの見積もりをお願いした。
そして金額を確認した。「いち、じゅう、ひゃく・・・え!」
1000万円強の工事費用。2万、3万の出費でいつもビクビクしている僕にとって、それは途方も無い大金だった。どうやって調達すればいい?諦めるか?でもチャレンジしてみたい。
なんといっても挑戦する「姿勢」だけは無料なのだ。
大金のインパクトからダメージを受けながらも、そう考えると、ちょっと気持ちが前向きになってきた。まずは自己資金が大事だ。去年の10月の約束の通りであれば、今、2人あわせて100万円有るはずだから、それを元手にしよう。僕は50万円ほぼきっかり口座に残しておいていた。
「オオハタ君、いまいくらあるの?」
ふと訪ねてみた。
「うん、、ぜんぜんないんだ・・・。」
「そっか・・・。」
よく勘違いされるけど、この案件を誘ってきたのは彼の方だ。そして僕はその話にのった。もう同じ船の中にいる。
2014年8月 僕たちは50万円しか持っていなかった。
【僕たちは根拠のない自信しか持っていなかった】開業までの道程 後編
所持金が50万円。工事費用1000万円に対してだ。両者を歩み寄らせて、なんとかゲストハウスを開きたい。僕たちは根拠のない自信しか持っていなかった。
まず、お願いする工事を最低限に減らし、残りを自分たちで行なうことにした。これで半分くらいの額に。そこに布団や枕、その他備品と最初の運転資金を乗っけてみる。そろばんを弾いて出た数字が約900万円。
「あと850万円用意できればゲストハウスが開ける」
具体的な数字が、自分たちを奮い立たせた。
だが、資金集めは難航する。銀行や公庫に融資をアタックしても、自己資金の少なさがネックになり、蹴られてしまったのだ。そこで、できるだけ現金を集めて、再度融資のお願いをする、という作戦をとる事に。額は目標額の約3分の1。300万円だ。
ソウイチが銀行をまわっている頃、オオハタは、つてのある投資家、農家、個人に融資のお願いをしてまわった。
「無理だよ、諦めな」
「絶対に失敗する。」
「身の丈にあった事業をやりなさい。」純粋に応援してくれる人は極僅か。大半がネガティブな回答で、オオハタはみるみる内に疲弊していった。
「もう、アレしかない・・・」
お互い話し合った結果、今まで意図的に避けて来た、「両親にお願いする」という方法にチャレンジしてみることに。家族なだけに経済状況はよくわかり、とてもお願いする気になれなかった。なによりも、自分たちの無力さがたまらなく嫌だった。
結果、オオハタは大ケンカ、ソウイチも門前払い。途方にくれてしまう。
お金を集められなければ、あの物件で開業できない。今チャンスを逃せば、二度とやってこないかもしれない。次第に、あまり眠れなくなり、食事は何を食べても味がしなくなった。
最悪だ。自信というのはつくづく思い込みでできている。ひとつだけ可能性があるとすれば、ソウイチの父親が盛岡に単身赴任をしており、直接直談判する方法だ。最後の気力を振り絞り、飛行機と新幹線のチケットをとって日帰りでオオハタをつれて向かった。
駅で父と落ち合い、盛岡冷麺を御馳走になった。相変わらず食事が喉に通らない。
「実は、お金を借りたいんだ」
僕は事業計画書を見せて一通り説明した。コンセプト、差別化、収益予想。
「で、いくら借りたいんだ?」
直球の質問だ。
「300万円です。」
「何?・・・・」
しばし沈黙が流れる。
「三日くれ。連絡する」
返答は保留だった。僕らは緊張したまま、そのまま新幹線にのって仙台に戻り、札幌に向けて飛び立った。
空港到着後、札幌まではオオハタの運転で戻る。ちょうど大谷地あたりを過ぎたところで、携帯が鳴る。
父からだ。
内容は収益シュミレーションについて、細かい数字の質問。ひとつづつ慎重に答えた。納得してくれた様子。
最後に、父はこういった。
「300万円、出すよ。母さんに内緒な。」
「ありがとう、本当にありがとうございます!」
電話を切り、すかさずオオハタに報告。
札幌都心部に向けて車は進むなか、なんだか涙が止まらなくなってしまった。
開業の糸口が見えた安堵感はもちろん、なによりも父がどれだけ苦労して稼いだお金か、想像するだけで泣けてきた。
隣のオオハタは、普段おちゃらけているが、この時だけは黙って前を向いてくれていた。
その後、父から借りた資金を元手に、大畑家、銀行、シェアハウスWAGAYAの山崎さんら出資を受け、目標額に到達。10月14日に工事を始め、最初に決めた開業日である12月1日にゲストハウスをオープンさせた。
ほんの2、3ヶ月の出来事がまるで一年のように感じる。
来年もスゴくハードな一年になりそう。お金もすっかり無くなってしまった。
でも、根拠のない自信だけは手放さずに持ち続けていたい。
すでに終了したプロジェクトですが、クラウドファンディング〈CAMP FIRE〉で資金調達をし見事成功されています。
旅をもっと楽しく!旅行者と住民が交流できるソーシャル・ホステルを札幌に! - CAMPFIRE(キャンプファイヤー)
こういったわくわくするようなつながりに出会えることが最近はとても楽しい。田舎にいても問題なし。講師特典で一泊無料で宿泊も可能ということなので、また遊びに行きたいと思います。その時は軽トラではなく、購入しているはずのNew My Carで。