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北海道の道北でいなかくらし。スラックライン、地域おこし、田舎暮らし、カメラ、RAW現像、デザイン、イラストについて。

80代のおばあちゃんが紡ぐ「はるまつしかあるめ」ということば。

高齢者には大変な除雪作業。

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北海道の道北地域。道央に比べて積雪は少ないといわれるものの、除雪は毎朝の日課となります。私たちにとっても冬の業務で大きなウェイトを占めるのが除排雪支援。

特に独居で高齢の方のお宅や、冬期間留守にしているお宅を巡視して積もっていたら除排雪します。

先日、町内のあるおばあちゃんの所へ行って玄関先の雪かきと故障した呼び鈴を見てみました。玄関先の雪かきは慣れた手つきで30分ほどで終了。故障した呼び鈴を直すことができるほどマルチなタイプではないので、町の電気屋さんに依頼する形で終了。


作業自体は30分程度で終わりましたが、ちょっと休んでいきなさいよ、言われるがままに厚かましくも休ませてもらって色々な話を聞かせて頂きました。(ヨーグルトもご馳走に。)

むかしがたりと「はるまつしかあるめ」

話はいろいろと膨らみます。

80代のおばあちゃんから紡がれる話は今ではなくなってしまった集落・学校の当時の様子など様々。中でも町内の知人で馬に乗って飲みに出歩いていた人がいる、という話には驚きました。


しかもその馬は町まで人を送ったら勝手に自宅に帰るんだよ、とのこと。馬自体今では珍しくなってしまったこの町で、馬をタクシー代わりに使っていたのは初耳です。


楽しい、興味深い話は尽きませんでしたが現実的な話も。どんどん同級生が亡くなってしまう。遠くへ引っ越してしまう。足が悪くなって行動範囲も狭くなってしまう。それが少し寂しい、と言っていました。特に冬場は玄関先でさえ出るのが怖いということで、ほとんど外に出ないことの方が多いそうです。


ストーブをつけっぱなしの室内には観葉植物が置いてあります。名前は知らん、と言っていましたがその植物が最近、新芽を咲かせたそうです。


「はるまつしかあるめ。」



真冬に咲いた新芽を見て少し活力をもらったようで、少しはにかんで笑いながら、そう言いました。


春になれば外に出れる、玄関先で通学中のこどもの元気な声が聞こえる、それを楽しみに寒い冬を乗り越えるんだぁ、という言葉がとても印象に残りました。


80代のおばあちゃんと話をしていると、「なんて言っているんだろう?」という言葉も多くて話を聞きながら、考える必要があるので少し疲れたりもします。それでも楽しそうに話す顔や、ふいに静かに遠くを見つめるしぐさなど心惹かれることが多いのです。