inakalife-いなかくらし-

北海道の道北でいなかくらし。スラックライン、地域おこし、田舎暮らし、カメラ、RAW現像、デザイン、イラストについて。

猟師じゃない私が猟友会の方と遠別の深い山に入って感じたいくつかのこと。

まずはじめに。マタギ(猟師)かっこよ。

マタギは漢字で書くと『叉鬼』、または『犭鬼(「けものへん」に「おに」)』となる。マタギの語源は諸説あって不明である。有力な説としては、東北地方の言葉で「猟師」を意味する『ヤマダチ(山立)』が訛ってマタギとなったという説、「マタハギ(木の皮を剥いで生活する人)」から来ているという説、アイヌ語で「冬の人」・狩猟を意味するマンギ・マタンギトノがなまったものだという説、山々を一跨ぎに越えてゆく健脚を持つからマタギである、クマさえ撃ち殺すのだから「鬼」の「また」強い、ということから叉鬼である、とする説などがあり、一定しない。ただし、日本語のマタギという語が先にあり、この語がアイヌ語に取り入れられたという説もある。〈Wikipediaより〉

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本当にこれに尽きる。経験に裏打ちされた土地勘と直感、気配や足跡を頼りに獲物を探す。そんな姿に心をぱっかーんと打たれた。

狩猟を始めた知人や地域おこし協力隊の人も周りにはいるけれど、自分とは無縁な世界だと勝手に思っていた。血、苦手だし。

今回、遠別町の猟友会の方々と深い山に入り狩猟姿を撮影させて頂きました。その様子をまとめてみます。ブログで使用した写真とそれ以外の写真も含めfacebookページでアルバムを作成しました。

matagi -遠別猟友会-

www.facebook.com

 遠別町の88%は森林なわけで。

 北海道には森林の割合が多いところが他にもたくさんありますが、遠別町も例外ではありません。人が住んでいる中心はコンパクトにまとまった町ですが、遠別町から南に40km程南にある羽幌町の近くまで森が続いています。

私のような素人が入れる林道や小道はほんの数%しかなくて、それ以外の場所は野生動物の生きる、人間が犯すことができないフィールドとなっているのです。

今回入った森は初めて足を踏み入れた場所ばかり。林道を20km近くスノーモービルで移動しました。見慣れない景色に感動とニヤニヤが収まらずBGMはB'zの「鳴り止まない熱き鼓動の果てにオーイェ」という歌が流れていました。曲名はわからないんですけど。

浮ついた気持ちと厳粛な気持ち 

ただ浮ついていたわけではありません。自分ひとりだけでは決して入ることができない深い山。そこには言葉で言い表せないような恐怖も内包していました。

静かな山の中で時折聴こえる野生動物の音、声。得体の知れない何かに見られているような錯覚を起こします。

林、谷、沢でも躊躇せずに真剣な表情で入っていく猟師さん。

獲物の気配を感じてから動き出すのがすごく早い。カメラで追おうとしても気付いたら次の場所へ移動を始める。

 

緊張の一瞬は突然訪れる

突如止まるスノーモービル。前に止まった猟師さんを見ると既に銃を構えています。その先を見ると鹿の群れ。慌てて私も撮影の準備に入る。

静かな山に鳴り響く銃声。銃の生音を聴くのはこれが初めて。予想よりもはるかに大きな音に私の心臓も早く脈打ちました。

沢を越えた雪原に倒れる鹿。まだ雪が残る谷をかんじきを履いて回収に向かいます。

 

人間社会で生きていて「死」と向き合うことはそう多くありません。まして、ついさっきまで動いていた鹿。死に大小をつけるわけではありませんが、小さな虫の死とは違い迫力と感じることも変わります。

一斉に逃げ出した鹿の群れ。逃げ遅れて撃たれ、倒れた1歳の雄鹿はやせ細っていました。「親鹿は前に撃たれたのかもしれねぇな」という猟師さんのことば。

貴重な経験をさせて頂きました。

猟師ではない私が一緒に山に入れたことは本当に貴重な機会でした。入ってみて感じたことはたくさんあります。ただ、外側に立つ私の立場から言えることはほとんどが薄っぺらいものになってしまうなぁと、このブログを書きながら感じています。

すごく単純なんだけど、深すぎて奥が見えないような、そんな感じです。

遠別町にUターンして3年。自分のお気に入りの場所も増えて同じ場所に何度も足を運ぶようになった。それでも、知らない場所も事もまだまだたくさんあるということに気づきました。

銃声の音は、今も頭に残っています。