町内を走るバスと集落に住む人。
遠別町内を走るバスは「沿岸バス」というバス会社が運営しています。街から少し離れた集落に住む高齢者にとって街の知人と会う、買い物、病院に通うための欠かせない交通手段。
それでも一日に走る本数は限られているし、街に行くということは高齢者にとっても非常に体力を使うことで毎日通うわけにもいきません。一度街に向かうとき、用事をまとめて済ませたらそのほうが良いのです。
そんな集落に住む方々と密接に関わっているのが【農援きっと】の皆さん。何度か当ブログでも登場していますが、第二期遠別地域おこし協力隊として集落と農業支援、六次産業活性などを主な活動として3名の方が活動しています。今回は農援きっとの皆さんが集落の高齢者の方々のために考え、その優しさが生んだ小さなまちの出来事をご紹介します。
きっかけは集落に住むひとり暮らしのおばあちゃんの一言
何かお手伝いすることはないか、とそれぞれの集落に住む方々に声掛けするのも大切な仕事のひとつ。たまたま声を掛けたおばあちゃんからの一言が今回の出来事のきっかけとなりました。
「街でソリが使えたらいいんだけどねぇ…。」
こんな一言。雪の降る北海道の町では冬場の買い物のお供としてソリを引くおじいちゃんおばあちゃんを見かけます。
自宅から商店まで、病院まで、知人宅まで。荷物を持って足場の不安定な冬道を歩くということは高齢の方にとって非常に危険なこと。一度の転倒がきっかけで寝たきりになってしまう方もいらっしゃいます。そのためできるだけ自宅にこもっている、という方も多いです。そんな冬道の負担を少しでも軽減するためにソリの役割はとっても大きいのです。
しかし、集落に住んでいる方にとっては自宅からソリを運ぶことは決して簡単ではありません。バス乗降りの際に持ち上げて運ぶ、下ろす。それだけでも苦労するということで冬場は街に来る頻度も減ってしまうのです。冬場の不便さに泣き寝入りするしかなかったという実情。
農援きっとが考えた優しさ
それを受けて、農援きっとの小西さんを中心に動いたことは【バス停にソリを常設しておくこと】。直接聴いたお話から自分たちでできることを見つけました。
宅配サービスを充実させる、車で送り迎えしてあげる、町内の除雪をもっと徹底するなど、便利さを求めた時に思いつくサービスはたくさんあります。ただそれを実施するためにはお金も手間も時間もかかります。
便利さを求めた対策ではなく直接聴いたお話から、そのおばあちゃんの不便さを取り除くために考えた小さな優しさが実現された小さなこと。似たようなニュアンスですが、少しだけ違うように思えます。
実際に使われるか、どれくらいの頻度で利用されるかはこれからのはなし。それでもこの優しさに気づく方はきっといるはず。
小さな優しさがこの町でひとつ、実現されました。
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